アニメ『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』を最終回まで全12話視聴した感想&考察です!
ずっと書こうと思っていたのですが今期アニメが多すぎて…燃え尽きて今更になってしまいましたorz
『すかすか』のサントラが発売され数曲ダウンロードして聴いてテンション上がったところで一気に書きました!ほんと最高です!
注意:ネタバレありです!あくまで私の個人的な感想や考察です。
ネタバレなしの感想はこちらの記事を!
『すかすか』感想:不思議な運命の巡り合わせ…
好きな人のために命がけで戦い自分を倒した女の子に憧れ、自分もそうなりたいと願った女の子の魂の欠片が最終的にその「好きな人」を救う——
なんとも不思議な運命の巡り合わせが素敵なお話でした。
ネタバレなしの感想にも書きましたが、途中からヴィレムだけじゃなく、実はクトリにもあまり感情移入できなくなっていました。
が、最終回まで観たらいろいろと自分の中で納得がいきました。
クトリがヴィレムに惹かれたのは…
世界でたった一人自分たちと同じ容姿をした異性だったこと、ドラマチックな出会いを果たしたこと、自分に死ななくてもいい道を示したこと…
などなど、もちろん恋に落ちるポイント山盛りでした。
が、やはり「ヴィレムだったから」という運命的なものもあったんじゃないかなぁと個人的に思いました。
実際、エルクがリーリァの好きな人を把握していたかわかりませんが、リーリァのヴィレムを助けたいという願いが、時を超えエルクの因子を濃く受け取ったクトリへ受け継がれ、不思議な形で叶ったのが印象的でした。
最終回はいいシーンがたくさんありました!
レ「ヴィレム、助けるっていうのは私たちレプラカーンの役目だから。それにヴィレムはもう私たちを助けてくれたから、だからもう大丈夫…」12話
ネフレンは、ベネノムを起こしすぎて前世の記憶に侵食されだし、体は思うように動かなくなり、挙げ句の果てに妖精郷の門が開いてしまいそうになったり…なかなか壮絶でした。
寡黙なレンもヴィレムに出会って救われていたんですね(号泣)瞳が赤く染まったレンが微笑みながらヴィレムの手を離すシーンなんてもう(号泣)
地味にカエルと猫と鳥が無事だったのか気になります。鳥、最後ちょっと姿が見えなくなってるんですよね…あぁ…
ここから冒頭につながる例のシーンは最高に泣けました!ほんと綺麗で!
ノ「やめろクトリ!行くな!お前の分は私たちが戦う、だから戦わなくてよくなったなら、もう戦うなよ!幸せになれるようになったなら、ちゃんと幸せになれよ!そうでないと、私たちが納得できねーよ!」12話
ボーイッシュでぶっきらぼうなノフトの心の叫びがほんと悲痛でした(号泣)
例え自分ではなくても、他の妖精の誰かが女の子として幸せになれるのならそれを望まずにはいられない…ノフトとクトリがあまり仲良くないって設定もあってもう涙が止まりませんでした(号泣)
そこからのクトリのセリフですよぉ…
ク「ごめん。私もう絶対に幸せになんてなれないんだ。だって気付いちゃったから…私、もうとっくに幸せだったんだって」12話
もう涙と鼻水が滝のように出てとまらなくなりました(号泣)BGMの「Always in my heart」相まってやばすぎる(号泣)
そこからヴィレムめがけ飛空艇から地上に落下していくクトリの映像が綺麗すぎる(号泣)
そして…
エ「クトリ!がんばれ!」
とか…
ほんとあかんっ(号泣)
そこから「Scarborough Fair」が流れるなか、ただ獣を倒す完璧な妖精兵器と化したクトリがまた美しい…
無表情で、でも踊るようにくるくると巨大な剣を振り回し獣を切り裂くクトリ…このとき持っていたダグウェポンがノフトのデスペラティオ、同族(人間)殺しに特化した剣っていうのがもう…
獣に攻撃されても痛みを感じない人形のように動き続け、獣に串刺しにされ完全に動きを封じられてしまったら、躊躇することなくあっさり「妖精郷の門」を開き自爆…
壮絶すぎた……
クトリの大きな瞳に真っ赤な返り血が飛び散るけど瞬きすらしない。凄まじいシーンだった…
最後ヴィレムの前に現れたクトリは幻かそれとも本物なのか?ちゃんと影あったし実物だったと思うけど…なぜ??自爆してから妖精が消滅するまで少し猶予があるのか…あれは一体。。。
クトリはもちろんヴィレムとレンも死亡扱いのようでしたが、大賢者の鼓動探知に反応した2つ(4つ?)の光はヴィレムとレン?
最後の青い髪の赤ちゃんは幼い頃のクトリと先輩妖精たちでしょうか?
?「すっごい声!前世の感情を思いっきり引きずってる!きっとすごく純粋な子だよ!」
これだけ見るとヴィレムの思いを引きずって泣いているようにも思えますが、転生した?それとも単にクトリの過去であってループものが始まったわけではない?
そもそも前世の記憶って誰の記憶なんだ…
続きがものすごく気になる終わり方でした!
ラ「それでもきっと誰かを幸せにするのは往々にして、そういうわがままを最後まで押し通した人たちなんでしょう」12話
ラーントルクの台詞ですが、クトリにしろリーリァにしろ、好きな人のために戦った女の子は、たとえどんな終末を迎えようときっと幸せだったんでしょうね。
最後、さりげなく断髪してるナイグラートさんとか切ない(涙)
そして、仲のいいクトリとレンを一度に失ったアイセアが辛い…アイセアの秘密を告白したクトリもいなくなってしまったし…ってかアイセアの中身は何者!?
ク「最後にひとつお願いがあるんだけど、私のことは忘れてくれると嬉しいかな」1話
妖精兵器の女の子、クトリの人生のお話でしたが、はじめ妖精兵たちは戦って死ぬことを強制や教育されているのかと思いきや、そうではなく、本当に本能で大切な人たちのために命がけで戦うことを望んでいたり、死を恐れないのがせめてもの救いでした。
それでも、このクトリの台詞は本心の裏返しで、本当は自分が存在したことを誰かに覚えて欲しいと願っていたり、好きな人たちと別れることを悲しく思っていたりするのがとても切なかった。
気になるポイント
なぜ敵同士で手を組んでいるのか?
人間の勇者側であった大賢者スウォンと星神エルクの軍勢のイーボルキャンドルがなぜ協力して浮遊島、レグル・エレを作り獣人たちを助けたのか気になります。
そればかりか、イーボルキャンドルが使えるエルクの魂を利用して妖精たちを作り出しているのを許容しているのも気になります。
人間はもう滅びているからいいのか、人間(獣)を倒すことになるからよしとしているのか?
なぜ人間が獣になったのか?
エ「人間って生き物が世界を壊そうとしていた。それを防ぐためにコトー、世界を管理してた三つの神々は軍勢を率いて人間種を滅ぼそうとしていたの。でもできなかった。人間の勇者が先にコトーたちの主を殺してしまったから、とめるものがいなくなった。人間たちは獣へと変わって全てを滅ぼした」11話
このエルクの台詞から、星神エルクが死んでしまった出来事と人間たちが獣になったことは関係があるような感じですが…
なぜ星神が死ぬと人間が獣化するのか、これだけの情報だとちょっと意味がわかりませんね。
アイセアは何者なのか?
ア「その子も多分あんたと同じように前世の侵食を受けて人格が消滅したんっす。一方で目覚めた女の子の方も戸惑ったんすよ。死んだと思ったら見ず知らずの場所で赤の他人になってたんすからね」9話
妖精は前世の記憶=エルクの記憶?に侵食されるようでしたが、本物のアイセアを乗っ取ってしまった何者かがエルクかといえば、ちょっと違うように感じました。
じゃあこのアイセアは何者かというと、アイセアもエルクの魂から発生した妖精なので、先輩の妖精の意識だったりするのでしょうか。
「見ず知らずの場所で〜」と言っているので、最近ではなくずいぶん昔の妖精兵のような感じもしますが一体何者?
妖精発生メカニズム
エ「妖精はもともと自分が死んだことも気づかないくらい小さな子供の魂。私はリーリァに殺されたあの時からずっと夢を見てる。あのとき見たリーリァみたいに好きな人たちのために命がけで戦う夢」11話
大賢者の死霊術によってエルクの魂から妖精を生産させているようですが、その仕組みはどのようなものになっているのでしょうか。
妖精たちが侵食される前世の記憶はクトリと同じようにエルクの記憶なのでしょうか。チラッとしか見れませんでしたが、レンもエルクの記憶を見ていたような感じもしました。
エルクはクトリの心と体が全部自分のものに置き換わったと言っていましたが、そうなったところでクトリの体を乗っ取って動き出すようなことはありませんでした。
それとは逆に、人格崩壊を起こした本物のアイセアが、エルクではないような何者かに体を乗っ取られるようなことも起きていたりします。
本来の妖精の魂の源であるエルク以外の意識も存在しているような感じもしますが、妖精発生のメカニズムはどのようなものなのでしょうか。
妖精として誕生すると、その妖精個人の意識も生まれ、それがひとつずつエルクの魂に足されて増えていくとか。
クトリは特別?
ナ「レプラカーンは一種の死霊よ。だからあなたの血をその試薬に混ぜれば真っ黒になるはずだったのね。それがまさかの無反応だった。理由は不明だけど今のあなたの体は、レプラカーンのそれじゃないわ」7話
今までたくさんの妖精兵が誕生しては散ってきましたが、クトリのようにレプラカーンでなくなってしまうのはかなりレアケースのようで今までなかったような感じでした。
エ「心も体もクトリはほどんどなくなって私のものにおきかわっちゃった」11話
エルクの台詞のように、なぜクトリだけが髪の色が真っ赤に染まりエルクの侵食を色濃く受けたのでしょうか。
クトリは他の妖精の魂と違ってリーリァに倒されてしまったエルク本人の魂の影響を強く受けているのでしょうか。
エルクはなにやらクトリに消滅して欲しくないようでしたが…というかクトリの心というか魂というかは完全に消滅してしまったのでしょうか。。。
【その他気になるポイント】
- なぜヴィレムは養育院で「お父さん」と呼ばれている?お父さん代わりだから?
- 養育院に「お母さん」はいる?アルマリアは「お姉ちゃん」と子供達から呼ばれてたけど。
- アルマリアも獣になってしまった?
- ティメレが突然変異した謎の獣は何?
- 「兆し」がなかった幼体妖精はどうなってしまう?
- エルクが探してる「ジェイイーボ」とは?
- クトリがマフラーを渡すときティアット、ラキシュ、コロンの名前を呼ぶシーンがあったのにパニバルだけなかったのはなぜ?なにかのフラグ??
- なぜヴィレムは獣にならない?人間が獣になったとき石化してたからセーフ?
- 赤ちゃんクトリと一緒にいた先輩は現在のクトリ達より年上に見えたけど何歳ぐらい?
- 最後の鼓動探知はヴィレムとレン?
『すかすか』考察:ある魂の破片の神話…
第1話では落下するクトリをヴィレムが救い
最終回では落下するヴィレムをクトリが救う
「天からの落下」の場面が印象的だった『すかすか』。
浮遊島で暮らすこの世界の人々の最大のピンチと言ったら、17種の獣が蔓延る地上へ落ちること、と簡単に想像できますが…
女の子。しかも、星神の魂を宿した女の子が天から落下する、という物語は「ソフィア神話」を連想させます。
他の記事も見てくれている人がいたら「またかッ!」って感じで恐縮ですが、折角『ユーリ!!! on ICE』の考察で調べまくったので…その…
『すかすか』にもソフィア神話のメタファーのようなものが感じられたので、合ってるかは不明ですがちょっと考察してみます!
ソフィア神話
宗教哲学でもあるグノーシス主義の神話に「ソフィア神話」というものがあります。一言でいうと、この世界の創造と人間の起源に関する神話です。
どんな内容かと言うと…
高次の至高神アイオーンの最下位の1柱であるソフィアは、ある過失を犯し天界から落下してしまいます。
ソフィアは助けにきた他のアイオーンに救出されますが、天界へ戻るため自身の穢れた部分を切り離して置いていきます。
この切り離されたソフィアの穢れは、出自を忘却しているのか、自分こそが至高神だと思い込みアイオーンを真似てこの世界と人間を創ります。
しかし、不完全な神に創造されたこの世界もまた不完全で、それ故に人間の生は悲惨なものになっています。
というお話。
この不完全な神がソフィアの一部から生まれたように、その神に創造された人間もソフィア由来の部分を宿しています。
哲学では、人間は「肉体」「心魂」「霊」の三つから構成されていると考えられ…
「肉体」は地上に属し不完全で消滅するもので「偽の神」に由来
「霊」は天界に属し完全で永遠に続くもので「真の神(アイオーン)」に由来
そして「霊」はバラバラになったソフィアの破片から出来ていると考えられています。
エ「そしてそれはクトリの魂の名前」11話
『すかすか』では「魂」と言っているので厳密には違いますが
星神エルクの魂から生まれたレプラカーン
至高神ソフィアの破片から生まれた人間
なんだか似ていますね。
馴染みがないわけではないのですが、哲学に出てくる「霊」の表現がちょっと個人的にしっくりこないところもありますが
「霊」→「魂」
「心魂」→「心」
間違ってるかもしれませんが、こう置き換えると理解しやすいかもしれません。
プシュケー
「霊」は星神エルクのもので、「肉体」は大賢者により創造され、その中間の境界に位置するクトリたち妖精の「心魂」。
故意に作り出されたクトリたちですが、その「心魂」は誰のもなのか、と言ったらやはり誰のものでもないクトリたち自身のものなんじゃないかと思います。
あくまで神話のお話なので実際には確かめようがありませんが…
アイオーン由来の「霊」といつか朽ちる借り物の「肉体」もって生まれてきた私たち人間ですが、一つだけ確かなのは、その起源が別のところにあったとしても、今ここにいる自分の心は、やはり誰のものでもない自分自身のものだということ。
ソフィア神話は哲学であると同時にキリスト教としての側面も含んでいて、神話には続きがあります。
この不完全な神に創られた人間もまたソフィアの欠片であり、その人間を救済するために天界からある男性アイオーンが地上に使わされます。
その男性アイオーンがイエス・キリストと言われています。
そして、この世界は男性アイオーンのキリストと女性アイオーンのソフィアの欠片(人間)の結婚によって世界は救済されると言われています。
クトリはヴィレムに出会い、大好きなヴィレムを助けることができて救済されましたが、その後の展開で、今度はヴィレムがクトリ(もしくはエルク)の魂を救済しにいく話があったりするのでしょうか。
ちなみに、「心魂」は古代ギリシャ語で「プシュケー」といい「蝶」の意味もあり、死後の魂を蝶で表現することもあるそうです。
クトリたち妖精には綺麗な蝶のような翅が生えていました。もちろん、妖精には翅が生えているものですが、この辺「死後の魂」「プシュケー」の隠喩だったのかもしれませんね。
【ソフィア神話のメタファー?】
- 落下する女の子
- 神様の魂の破片
- プシュケー、蝶、死者の魂
まとめ
OPの胸元から血を流し石化するクトリとか
セリオニスを構えて対峙するクトリとリィーリアが伏線だったり
猫耳(髪型)と猫目八重歯のアイセアの前世が獣人と見せかけミスリードだったり
なぜか女の子しかいない妖精だったり
いといろと面白かったです!
第1話のクトリとヴィレムのシーンで「Scarborough Fair」が挿入歌として使われていましたが、これも決して成就しない恋愛の伏線でしたね。
挿入歌「Always in my heart」などの歌詞を別の記事で考察してみましたが、なかなか意味深で物語とかなりリンクしていました。
最終、ヴィレムとレンが生きていそうな感じもあり続きが非常に気になります!
11話でヴィレムにあまり感情移入できないことの理由のようなものが説明されていますが、もっとヴィレム視点でクトリを追いかけるようなお話もあったりするんでしょうか。
ヴィレムのターンも見てみたいですね!
アニメとしては途中若干作画が乱れましたが、世界感の美しさが映像と音楽で表現されていてとてもよかったです。
続きをアニメで観てみたいのですが…ちょっと難しいのでしょうか。
第1話で物語の結末が大体示唆され、一見悲しいお話にも見えるのですが、クトリもヴィレムもちゃんとある意味救済されるので視聴後感がいい素敵なお話でした。
それにしても、クトリをはじめ黄金妖精さんたちがみんなかわいくいい子で…みんな幸せになって欲しいぃ。