「Scarbrough Fair」の原曲は…というか、そのもの「スカボロー・フェア」はイギリスの伝統民謡。
歌詞がとても意味深で、“ある事柄”の隠喩と言われ、考察がとても興味深い歌です。
その隠喩もあってか『GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー ガール)2期』8話や『DIABOLIK LOVERS(ディアボリック ラヴァーズ)』6話に登場し、アニメ好きには馴染みがある海外の民謡かもしれません。
今回は、そんな「Scarbrough Fair」の歌詞を『すかすか』の物語と絡めて考察したいと思います!
『すかすか』の挿入歌から物語を考察してみましたが、追記してるうちに記事が長くなりすぎたので「Scarbrough Fair」の部分をわけました!
注意:ネタバレありです!あくまで私の個人的な感想や考察です。
「スカボロー・フェア」とは?
「Scarbrough Fair」の原曲…というか、そのもの「スカボロー・フェア」はイングランドの伝統的なバラッド。
バラッドとは、イギリスなどで伝承されてきた物語や寓意のある歌のことで、語るような曲調が特徴のようです。(参考:バラッド – Wikipedia)
「スカボロー・フェア」の歌詞には様々なバージョンがあるそうですが、その中でも有名なのはサイモン&ガーファンクルのものではないでしょうか。
いろんなハーブの名前が出てくるあの歌です。
管理人も中学校の音楽の教科書に載っていたのを覚えています。(最近はどうなんだろう…ジェネレーションギャップとかあるのかな…)
当時は歌詞の意味など気にせず、妖精が出てきそうな幻想的な雰囲気の曲だなぁとぼんやり思っていましたが、その歌詞の意味を知ってかなり印象が変わりました。
サイモン&ガーファンクルは、男性ボーカルで歌詞も女性へ宛てた内容になっています。
しかし、山田タマルさんが歌う曲は、もちろん女性ボーカルで、歌詞の「she」が「he」になったり、女性から男性へ歌う内容になっています。
歌詞も意味深でクトリとヴィレムの恋愛の結末の隠喩になっている感じがします。
ちなみに、「スカボロー」とはイングランドのノース・ヨークシャー北海海岸沿いの街「スカーブラ(スカーバラ)」のこと。
「スカボロー・フェア」の 歌詞と和訳
Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Remember me to one who lives there,
For he once was a true love of mine.Tell him to make me a cambric shirt,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Without no seam nor fine needlework,
And then he’ll be a true love of mine.Tell him to find me an acre of land,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Between the salt water and the sea strand,
For then he’ll be a true love of mine.スカバラーの市へ行くの?
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
そこに住むあの人によろしくと言って
彼はかつての恋人だったから彼にカンブリックのシャツを作るように伝えて
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
縫い目も細かい針仕事もなしの
そうしたら彼は私の恋人彼に1エーカーの土地を見つけるように伝えて
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
海水と波打ち際の間に
そうしたら彼は私の恋人
民謡なので「Scarbrough Fair」の歌詞をそのまま載せても問題ないとは思ったのですが、念のためWikipediaの歌詞を参考にしました。わずかに違いがありますが、ほぼ同じ歌詞です。
こちらの『すかすか』の海外版PVでも聴けます!
成就することのない恋
かつての恋人へ宛てた伝言を歌った曲なんですが…内容が意味深です。
歌い手はかつての恋人に幾つか頼みごとをし、それを達成できたら再び恋人になれると言うのですが、その内容が…
- 縫い目のないシャツの作成
- 海水と波打ち際の間に1エーカーの土地を見つける
と、どう考えても達成不可能な要求で…
「は?これじゃ恋人になれないじゃんっ!」
と思うように、「決して叶うことのない恋」を歌っているそうです……。この歌が第1話のクトリとヴィレムのシーンで流れていたことを考えると切ないですね。
ちなみに、参考にしたWikipediaのページには、これより長い歌詞が書かれているのですが…積み上げられていく不可能な要求に胸が締め付けられます。
そして、歌の一番最後は、叶わないとわかっていながら、それでも諦めることができない、という縋るような想いが滲んだ悲痛な詩で終わっています。
If you say that you can’t, then I shall reply,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Oh, Let me know that at least you will try,
Or you’ll never be a true love of mine.
叶わないからこそ美しい……そう言われるものもこの世界にはありますが、正直、全然綺麗じゃなくてもいいから、クトリとヴィレムには幸せになってもらいたいです(涙)
日本の『竹取物語』では、かぐや姫が求婚を断るために無理難題を投げ掛けますが、「スカボロー・フェア」では行動と願望が矛盾していて、不思議で新鮮に感じます。
パセリ、セージ、ローズマリーにタイムの意味
「スカボロー・フェア」は、人から人へ口伝えで語り継がれる過程で変化したため様々なバージョンがあり、登場するハーブの意味にも諸説あるそうです。
元の歌詞が忘れられ単なるプレイスホルダーとして使われた可能性もあり、実際、この4種類のハーブがどのような意図で使われたのか定かではないそうですが、パセリは慰め、セージは強さ、ローズマリーは愛、そしてタイムは勇気を象徴するそうです。
また、「ある種の呪い」を解くための強壮剤にこの4種類のハーブが使われたという推測もあるそうです。
参考:History of the Folk Song ‘Scarborough Fair’ – liveaboutdotcom
「恋が叶わなくなる呪い」の魔法でもかけられてしまったのでしょうか?なんだかとってもイギリスって感じのお話ですね。
スカボロー・フェアと黒死病(ペスト)
この4種類のハーブとの関連ではないようなのですが…
スカボロー・フェアは、しばしば男女のデュエットで歌われ、お互いに「達成不可能な要求」を交換するのですが、これは中世の黒死病(ペスト)の大流行と関連があるのではないかという推測もあるそうです。
参考:Scarborough_Fair_(ballad) – Wikipedia
なぜ「達成不可能な要求の交換」が「ペスト」に繋がるのか、詳しく書かれていなかったのでわかりませんでした。
抗菌作用に優れたハーブ
ここからは、個人的な考察になりますが、パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。この4種類のハーブはどれも抗菌作用に優れた薬草です。
この4種類のハーブがいつ歌詞に付けられたのか不明なので、後付けかもしれませんが、「死の呪い」である「黒死病」の感染を防いだり治るように、という願いを込めて抗菌作用を持つこの4種類のハーブが歌詞に加えられたのかもしれませんね。
調べればスカボロー・フェアとペストに関する話がもっとありそうな気がするので、見つけたら追記したいと思います。
ペストマスク
17,18世紀には、「瘴気論」と言いペストの感染源は悪性の空気だと考えられ、その瘴気から身を守るためペスト医師は鳥のくちばし状をしたマスクを着用していました。
くちばし部分には、ハーブ(ミント、樟脳、バラなど)や香辛料が詰められ、瘴気から身を守ってくれると信じられていたそうです。(←守れてない涙)
参照元にはスカボロー・フェアのハーブは出てきませんでしたが、ハーブの本で、瘴気を払うために病院でタイムを焚いた、と言う話を読んだ気がします。実際、タイムはハーブの中でも特に抗菌作用が高いそうです。
スープに2枝ほど入れて煮込むと香りが付いて美味しくなります。最近、トマトスープに入れるのにはまっています。
4人の泥棒酢(マルセイユ酢)
中世のペスト大流行の際、死者や病人から盗みを働く泥棒グループが、ペストの感染防止にハーブを漬け込んだ酢を体に塗った、と言う話がドーバー海峡を挟んでお隣のフランスにあるそうです。
レシピには様々なバージョンがあるそうですが、現代のレシピではニンニクと「セージ、ローズマリー、タイムにラベンダー」のハーブが使われているそうです。
ちなみに、イタリアでは「7人の泥棒酢」なんて酢もあるそうです。
参考:Four thieves vinegar – Wikipedia
「ある種の呪いを解くための強壮剤」とは「4人の泥棒酢」のことかもしれませんね。
「パセリはどっから来た?」って疑問が残りますが、やはりスカボロー・フェアと黒死病は関係がありそうですね。
ちなみに、世界一アルコール度数が高いお酒「スピリタス」(96度)の原産地ポーランドでは、スピリタスを使った消毒法が家庭で習慣付いていたためヨーロッパの中でもペストが流行しなかったそうです。
不可能を可能にできたなら、あなたは私の恋人
直接自分で会いに行かず第三者に伝言を頼む、という内容からちょっと察せるところもありましたが、考察するうちにどう考えても……
恋人もしくは元恋人が、黒死病に罹って亡くなってしまったので、その恋はもう永遠に成就しない……というような「死んだ恋人へ宛てた伝言」の歌に聞こえてきました……
さっきまで「恋が叶わなくなる呪い」とか言ってファンタジーな世界に浸っていましたが、いきなり現実に引き戻されてしまいました(涙)
不可能を可能にできたなら、あなたは私の恋人——
アニメではクトリがあの後どうなってしまったのかわかりませんでしたが、たぶんとても遠い別の世界へ行ってしまったんじゃないかと思います(涙)その境界をヴィレムが超えることができたなら、二人はまだ恋人になれるのでしょうか。

セージ
ちょっと確かではないのですが、クトリの部屋の鉢植えの植物は多分セージじゃないかと思うんですよね。
種類にもよりますが、銀色の光沢がある葉っぱで「庭にセージが育つ家に死人なし」という諺があるほど効能に富んだ薬草で、また邪気を払う力もあると言われています。
ちなみに、花言葉は、尊敬、知恵、幸せな家庭などがあります。
そして、セージの学名は「Salvia officinalis」と言って、この「salvia」は、ラテン語の「salvere」に由来して「治療する」「健康」「救い出す」の意味があるそうです…(参考:ハーブ&スパイス検索 – S&B)
「救い出す」……
よく見ると、6話で前世の浸食によって人格破壊をはじめ倒れたクトリの枕元にセージの鉢植えが置かれているんですよね…
もとは窓辺にあったのを誰かが枕元に移したようでしたが、きっとヴィレムが置いたんでしょうね…クトリは救われましたよ…本当に…うぅ…泣けるッ!!
実はうちにパセリ、セージ、ローズマリーが生えてるんですが…タイムが枯れてしまったんですよねorz
植えねばッ!!(←植えました)
まとめ
アニメ『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』は、1話で物語の結末がある程度示唆されているのですが、1話の挿入歌の一つ「Scarbrough Fair」もクトリとヴィレムの悲恋の伏線でした。
スカボロー・フェアの歌詞が意味深過ぎて、かなり記事が長くなってしまいました。様々な創作物に登場する曲なので、背景を知っているとニヤリとできて楽しいと思います。
『ガンスリ』は全部観たはずなんですが、スカボロー・フェアのくだりを全然覚えてなかったので改めて2期8話を見てみましたが、やはりこちらもメタファーのようでした。
いろんな意味で気になっていた『ディアラバ』は、とりあえず5,6話を観てみました!
6話で坂巻カナトがアカペラで歌ってるのを確認しました!あと、BGMでも曲が流れていました。こちらは、話がわかっていないのでどのような意味で使われていたのがわかりませんでした……
が!主人公ちゃんの扱いが想像以上に理不尽でッ!結末まで見届けたくなったッ!